
【人探し調査】家族の失踪依頼の悲しい結末!!
『探偵ブログ』第3話
この案件は随分昔のご依頼ですが、未だ忘れられない事案であります。
先ずは対象者の概要についてのご説明をさせて頂きます。
調査対象者であるA子は実家が商売を営む家庭の三女であった。
A子は大学を卒業後、大阪の会社に就職すべく来阪し勤務していたが、元々糖尿病の持病があったA子は体調が思わしくなく、やむなく実家に帰省して地元の大学病院に入院する。
だが治療の効果も芳しく無く、A子は退院を願い出で投薬による自宅療養に切り替えたものである。
しかし、日々視力が低下し遂に新聞や雑誌は字が小さくて読めなくなり、しかもテレビは白黒にしか見えず、特に白色と黄色系は全く見えない状態にあった。
まだ昼間はメガネでどうにかカバー出来るが、陽が落ちると全盲同様で一人ではどうにも動きが取れぬ始末であったらしい。また交際していた彼氏とのデートも儘ならず、商いを切り盛りしていた姉には愚痴も言えず、そうした状況の日々の中、母親も同じ病で亡くしている事から精神的に追い詰められたA子は失明してまで生きたくないと、発作的に手首を切って自殺を図るが、運良く一命は取り留めたとの事であった。
このような状況から予てよりの担当医師の説得で再入院と決定したが、遺書とも取れる書き置きを残し、また常用薬や身分を証明するものは全て残し失踪したとの事であった。
家族は田舎町の事でもあり世間体を考え、警察に保護願いを出す事を躊躇し、家出して3日後に警察へ非公開の家出人の届出をする。しかし本人からの連絡が全く無い為に、A子が失踪して8日後に弊社への本件依頼と相成ったものである。
本件は対象者の安否が急を要する為に、ありとあらゆる関係者への連絡や面談などの情報収集を成し、交通機関や消防署・病院の搬送や入院照会等を敢行する。また県警からの連絡で身元不明者確認を為すがA子とその遺体とは類似しなかった。
尚、弊社へご依頼後すぐに全国公開手配に切り替えていた為、隣の県警管内の川で発見された水死体が、A子と一致することが判明した次第である。
遺体の司法解剖部所見からA子は自宅を出て、約1キロの川の橋の下で一夜を過ごした模様で、まだ冷たい早春の川に入水自殺したものである。
弊社への依頼の時点で既にA子は死亡していたものとは故、調査に拘わった弊社として一日でも早く発見出来なかったせめてもの償いに、通夜と告別式で線香をしながらA子の心情を鑑みると余りにも悲しい惜春の生涯であり、啜り泣く遺族や友人の姿に調査業の重さと人の世のはかなさが身に染みた事案であった。
こうした失踪による依頼案件に就いては、ご依頼者に依って事情は様々なので一括りには出来ませんが、特に生死に関わる場合は迷わず直ぐに警察へ届出をする事をお勧めし終りたいと思います。
2017年12月16日